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当研究室では,細胞内およびミトコンドリア内で機能するタンパク質膜透過装置のサブユニット間相互作用地図のスナップショット作成に成功し,膜透過装置が働く仕組みを明らかにしました。大学院生の塩田拓也,間渕英,博士研究員の山野晃史らによる研究成果です。ミトコンドリアは生命活動に必須のエネルギー産生などを担う細胞内小器官です。ミトコンドリアタンパク質の多くは,「ミトコンドリア行きシグナル」が書き込まれたプレ配列が付加された前駆体として合成され,ミトコンドリア外膜の膜透過装置TOM40複合体,内膜の膜透過装置TIM23複合体の働きで外膜と内膜の2枚の膜を通過して内部に移行します。TOM40複合体のサブユニットTom22は,外膜表面でプレ配列中のミトコンドリア行きシグナルを認識,外膜中でTOM40複合体のチャネル構造を安定化し,外膜の膜間部側でプレ配列を再度認識するとともに,内膜のTIM23複合体に効率よく前駆体を受け渡します。今回in vivo部位特異的光架橋の手法を用いて,Tom22が多様な機能を実現するために,TOM40複合体やTIM23複合体の他のサブユニットと相互作用を変化させていく様子を,高い空間分解能でマッピングすることに成功しました。「相互作用地図のスナップショットを何枚も撮る」本法は,他の系にも広く適用できる有用な手法です。これらの発見は、学術雑誌 『Proceedings of the National Academy of Science USA』2011年9月13日号に掲載されました。 |
| 当研究室では,細胞内およびミトコンドリア内で機能するタンパク質膜透過装置のサブユニット間相互作用地図のスナップショット作成に成功 |
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当研究室では,ミトコンドリアタンパク質前駆体のプレ配列には,ミトコンドリア受容体Tom20が認識するミトコンドリア行きシグナルを二つ持つものがあることを発見し,その意義を明らかにしました。博士研究員の山本林,河野慎,大学院生の伊藤順香,八津川洋一,松永真由美らによる研究成果です。ミトコンドリアは生命活動に必須のエネルギー産生などを担う細胞内小器官です。ミトコンドリアタンパク質の多くは,ミトコンドリアの外でアミノ末端に「ミトコンドリア行きシグナル」が書き込まれたプレ配列が付加された前駆体として合成され,このシグナルがミトコンドリア上の受容体Tom20によって認識されることで,正確な配送が実現します。ところが,長いプレ配列にはこのシグナルがタンデム(直列)に二つ書き込まれている場合があることを発見しました。一番目のシグナルがTom20に認識されることで前駆体はミトコンドリアに入ることができ,二番目のシグナルがTom20に認識されると,前駆体の外膜通過の効率がアップすることがわかりました。進化の過程で,行き先シグナルが二重になることで,プレ配列には単なる「宛名」を越える新たな機能が獲得されたことが明らかになりました。これらの発見は、2010年12月20日に学術雑誌 『Proceedings of the National Academy of Science USA』オンライン版に掲載されました。 |
| ミトコンドリアタンパク質前駆体のプレ配列には、ミトコンドリア受容体Tom20が認識するミトコンドリア行きシグナルを二つ持つものがある事を発見 |
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当研究室では、小胞体の分子シャペロンHsp70であるBiPが、植物の有性生殖過程における核融合を制御する因子であることを見いだしました。大学院生の丸山大輔らによる研究成果です。 細胞核の融合は、動植物など様々な生物の有性生殖の進行に必須な過程ですが、その分子機構はほとんどわかっていません。私たちは、モデル植物シロイヌナズナでは、BiPを欠損すると植物の有性生殖過程における核融合のひとつである極核融合がおこらなくなることを発見しました。BiPは出芽酵母の有性生殖過程である接合時の核融合に関与することが知られていますが、今回の私たちの発見は、核融合の分子機構が酵母と植物の間で保存されていることを示しており、有性生殖過程における核融合のメカニズム一般の解明に大きな進展をもたらすものです。さらに私たちは、受精後の胚乳核の分裂制御には、極核の融合が必要であることも見いだしました。これらの発見は、2010年1月4日に学術雑誌『Proceedings of the National Academy of Science USA』オンライン版に掲載されました。 |
| 小胞体の分子シャペロンHsp70であるBiPが植物の有性生殖過程における核融合を制御する因子であることを発見 |
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当研究室では,ミトコンドリア内でタンパク質にジスルフィド結合を導入するタンパク質Tim40(Mia40)の結晶構造を,マルトース結合タンパク質(MBP)との融合タンパク質の形で決定し,Tim40が基質タンパク質内にジスルフィド結合を形成させる仕組みの手がかりを得ることに成功しました。研究員の河野慎,山野晃史らによる研究成果です。 最近細胞内では,分泌経路の入り口である小胞体内部だけでなく,ミトコンドリア内の膜間部でもタンパク質内にジスルフィド結合が導入されることが分かってきました。Tim40はこのミトコンドリア内でのジスルフィド結合導入を担うタンパク質で,導入に必須のTim40内のジスルフィド結合の位置,基質が結合する疎水的な窪みの存在などが明らかになりました。さらにこの基質結合部位はTim40に酸化力を提供するパートナータンパク質Erv1との相互作用にも重要であることが分かりました。これらの結果はミトコンドリアにおけるタンパク質のジスルフィド結合形成を担うTim40の機能解明の本質に迫るものであり,細胞内のエネルギー生産工場であり,老化などとも密接な関係をもつミトコンドリアの形成の仕組みの解明につながるものです。本研究成果の詳細は,学術雑誌『Proceedings of National Academy of Science, USA』オンライン版に掲載されました。 |
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ミトコンドリア内でタンパク質にジスルフィド結合を導入するレドックストランスロケータTim40(Mia40)の機能構造を原子レベルで解明 |
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当研究室では,タンパク質のミトコンドリア内膜を担う膜透過装置,TIM23複合体の働く仕組みを,TIM23複合体を構成するTim23とTim50という二つの部品の膜間部における相互作用の役割,という観点から明らかにしました。大学院生(現ジョンズホプキンス大学医学部博士研究員)の田村康,大学院生の原田佳宗,塩田拓也らによる研究成果です。ミトコンドリアは生命活動に必須のエネルギー産生などを担う細胞内小器官です。ミトコンドリアを構成するタンパク質は,ミトコンドリアの外で合成されてから,ミトコンドリアを取り囲む外膜と内膜を通過して内部に入り,そこではじめて働くことができます。TIM23複合体はこうしたミトコンドリアタンパク質の内膜通過を担う分子機械です。今回,TIM23複合体を構成する部品であるTim23とTim50は,膜間部で結合することにより,外膜から内膜へのタンパク質の受け渡しの効率を上げると共に,内膜通過に必要なマトリクスのモータタンパク質群の活性化のスイッチを入れることができることを見いだしました。このことは内膜の膜透過装置TIM23複合体がその部品の相互作用を通じて,外膜と内膜,内膜の膜間部側とマトリクス側で起こる様々なイベントを調整し,タンパク質の効率よい膜透過を実現していることを明らかにするものです。本研究成果の詳細は,学術雑誌『Journal of Cell Biology』に掲載されました。 |
| インテリジェントな分子機械, TIM23トランスロケータ(膜透過装置)の働く仕組みを, 構成する部品の相互作用のレベルで解明 | |
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当研究室では,タンパク質のミトコンドリア膜透過に伴うアンフォールディング(立体構造をほどくこと)の仕組みとして,長い間論争が続いてきた「パワーストロークvsブラウニアンラチェット」という問題に決着をつけました。大学院生の山野晃史,長谷川(畔柳)美香らによる研究成果です。ミトコンドリア内にタンパク質が入るときに,タンパク質の立体構造がどうやってほどけるかについては,ミトコンドリア内のシャペロンHsp70が力学的にタンパク質を引っ張ることにより構造をほどくパワーストロークモデルと,タンパク質自身の構造が自発的に揺らいでほどけ,ほどけた部分がブラウン運動でミトコンドリア内に入ってきたところをHsp70がトラップするというブラウニアンラチェットモデルが対立してきました。今回Hsp70というモータ分子がタンパク質を実質的に引き込む距離,ステップサイズを測定することにより,ブラウニアンラチェットモデルがタンパク質のアンフォールディングを引き起こす主要なメカニズムであることを証明しました。このことは,ミクロの世界で分子機械が動く仕組みの一般的原理の理解につながるものです。本研究成果の詳細は,学術雑誌『Journal of Biological Chemistry』に掲載されました。 |
| ミトコンドリアのインポートモータが働く仕組みの論争に決着〜パワーストロークモデルとブラウニアンラチェットモデル | |
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ミトコンドリア内にタンパク質が入るときにタンパク質の立体構造がどのようのほどけるかについて,力学的にタンパク質の立体構造をほどく場合との相違を明らかにしました,米国コロンビア大学との共同研究で,大学院生の佐藤健大(後期博士課程3年)らによる研究成果です。タンパク質は特定の立体構造をとってはじめて機能できますが,細胞内ではこの立体構造がほどける(アンフォールディングする)ことが重要なこともあります。たとえばサイトゾルで作られたタンパク質が,膜で囲まれたオルガネラ(細胞内小器官)内に入るとき,通過するタンパク質は立体構造がほどけないと孔を通過できません。タンパク質はオルガネラ内に入るためのシグナルが付加した方の端からアンフォールディングすると考えられますが,この過程は,タンパク質を両端から力学的に引っ張る原子間力顕微鏡(AFM)によるアンフォールディングによく似ています。本研究では,ミトコンドリアタンパク質の様々な変異体について,それらがアンフォールディングしてミトコンドリア内に取り込まれる過程とAFMによる力学的なアンフォールディングを詳細に比較しましたその結果,ミトコンドリアの膜透過装置は、ミトコンドリア行きシグナル近傍が部分的にほどけた「中間体」と相互作用し、その安定性を減少させることによって分子全体の効率的なアンフォールディングを引き起こすことが明らかになりました。本研究成果の詳細は,学術雑誌『Proceedings of National Academy of Science, USA』に掲載されました。 |
| 「膜透過するタンパク質は力学的に引っ張られてほどけるのか?」〜細胞内でのタンパク質の立体構造の変換の仕組みの解明に貢献 | |
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ミトコンドリアへのタンパク質の配送を担うトランスロケータ(膜透過装置)の新規タンパク質を一挙に4種類発見しました。日本学術振興会特別研究員の山本 林,大学院生の石川大悟(前期博士課程2年),直江真里(後期博士課程2年)らによる研究成果です。 ミトコンドリアは生命活動に必須のエネルギー産生などを担う細胞内小器官です。ミトコンドリアを構成するタンパク質は,ミトコンドリアの外で合成されてから,ミトコンドリアを取り囲む生体膜を通過して内部に入り,そこではじめて働くことができます。ミトコンドリアタンパク質をミトコンドリア内の目的地に正しく配送するのは,ミトコンドリア膜上の膜透過装置,すなわちトランスロケータの働きです。今回,トランスロケータを構成する新規タンパク質を4種類も一挙に発見することができたことで,ミトコンドリアへのタンパク質の配送の経路と仕組みは,従来考えられていたよりも,はるかに巧妙で複雑であることが明らかになりました。このことはまた,細胞内でタンパク質を働くべき場所に正しく届ける交通管制システムの全貌の解明につながるもので,細胞の構造と機能がいかに維持されていくかという,基本的な問題の解決のきっかけとなることが期待されます。本研究成果の詳細は,学術雑誌『Journal of Cell Biology』,『Journal of Biological Chemistry』,『FEBS Letters』に掲載されました。 |
| 「ミトコンドリアへのタンパク質配送を担う新規タンパク質を一挙に4種類発見」〜細胞の中でタンパク質を正確に配送するシステムの全貌解明に貢献〜 | |
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当研究室では,小胞体内で発生した異常タンパク質に糖鎖を付加することで,細胞への負荷を軽減する新たな仕組みを発見しました。大学院生の中務邦雄(後期博士課程3年)らによる研究成果です。細胞内のタンパク質社会では,しばしば立体構造がおかしくなった不良品タンパク質が発生します。こうした不良品タンパク質は単に機能できないだけでなく,細胞にとって毒になることもあるので,不良品タンパク質を見つけ出し,毒性を解消する「品質管理システム」が細胞には備わっています。たとえば小胞体では,不良品を検出すると分子シャペロンによる修復を試み,それがダメならプロテアーゼで分解します。今回私たちは,不良品処理の第三の方法として,不良品タンパク質に糖鎖を負荷して溶解度を上げる仕組みを発見しました。糖鎖を負荷しても機能は回復しませんが,凝集しにくくなるため毒性が減り,品質管理システムへの負荷が軽減するものと考えられます。近年,細胞内での不良品タンパク質の発生と凝集を引き金とする様々なフォールディング病が見いだされており,今回の発見はこうした病態の予防や克服という観点からも注目されるものです。本研究成果の詳細は,学術雑誌『Journal of Biological Chemistry』に掲載されました。 |
| 「小胞体内の不良品タンパク質を糖鎖付加で修復する仕組みの発見」〜細胞の中で不良品タンパク質を適切に発見し処理する品質管理機構の解明に貢献〜 | |
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生体膜でタンパク質を通す穴が「ツルツル」ではなく,タンパク質自身が一人前になる準備が整うまで,かくまって保護するというユニークな性質をもつことを発見しました。米国ゲノミクス研究所,韓国ヨンセイ大学との共同研究で,日本学術振興会特別研究員の江崎雅俊らによる研究成果です。 ミトコンドリアは生命活動に必須のエネルギー産生などを担う細胞内小器官です。ミトコンドリアを構成するタンパク質は,ミトコンドリアの外で合成されてから,ミトコンドリアを取り囲む生体膜を通過して内部に入り,そこではじめて働くことができます。今回ミトコンドリアの外膜の穴は,タンパク質が自分で立体構造を形成できる準備が整うまで,タンパク質を穴の中に留め置き,保護するという,タンパク質機能化の「介添役」として働くことを発見しました。こうした穴の機能は細胞内の他の生体膜でも働いている可能性があり,ミトコンドリアのような細胞内小器官がわれわれの細胞内でどのように作られ,維持されていくかという,基本的な問題の解決の突破口が開かれることが期待されます。本研究成果の詳細は,学術雑誌『Nature Structural Biology』のオンライン版に掲載されました。 |
| 「ミトコンドリア膜でタンパク質を通す『穴』はただの穴ではない」〜細胞の中でタンパク質が移動し機能できるようになる仕組みの理解に貢献〜 | |
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ミトコンドリアの二つの膜の間でのタンパク質の受け渡しに関与する可能性がある新しいタンパク質Tim50を発見しました。大学院生の山本林(後期博士課程2年)らによる研究成果です。 |
| 「ミトコンドリアの二つの膜の間でのタンパク質の受け渡しに関わる新しいタンパク質を発見」 〜細胞の中にミトコンドリアなどの小器官が作られる仕組みの理解に貢献〜 |